♯ 製作家紹介
❖ 野口 實

Minoru Noguchi
1947年 東京都・大島町に生まれる。
1962年 都立大島高校定時制に入学と同時に石川弦楽器に入社。マンドリン製作の修行に入る。
1968年 独立、大島にて工房を開く。独自のインスピレーションで製作に取り組む。
2002年 伊東にマンドリン工房を開く。
作品は全国の高校・大学・社会人のOB各団体やマンドリン愛好家、音楽愛好者たちに幅広く愛用されている。
2005年 マンドリン製作において日本文化振興会「国際芸術文化賞受賞」。
2006年 ロシアマンドリンコンクール第2位のベラルーシ(ナターリア)、第4位の桜井至誠(さくらいまこと)は野口實氏製作のマンドリンを使用しての入賞である。
フォレストヒルミュージックアカデミー講師の福屋篤先生は2006年第20回日本マンドリン独奏コンクールにて野口マンドリンを使用し第2位に入賞している。

マンドリン作りに生涯を捧げて〜野口 實
私がこの仕事に就いたのは、マンドリン製作者の石川先生(1968年)と出会ったことがこの世界に進む大きなきっかけとなりました。 中学卒業と同時に、この道に入ってかれこれ早いもので2012年をもって50年となります。
マンドリンには実に様々な音や形があります。 マンドリンから始まり、マンドラ、マンドチェロ、マンドローネと高音楽器、低音楽器によって大きさも変わります。 材料はローズウッド、メープル、ドイツ松、スプルース、黒檀などで、十分乾燥された材料が使用されます。
当工房ではすべてハンドメイドで製作しており、製作期間は製品によって異なりますが、1ヶ月から2ヶ月ぐらい掛かります。 高級品は6ヶ月ぐらい掛かることもあります。
是非一度手にしてみて下さい。

インタビュー
Q.どういったポリシーで製作されていますか?

A.マンドリン製作というのは単に工作物を作るというのではありませんので、製作者の個性を感じていただけるものにしたいと思っていますが、製作の現場では常に研究を続け、進化(深化もあります)することを考えています。

Q.どんな音を目指していますか?

A.軟らかく、ふくよかで、深みがあり、力強い音といえば聞こえはよいのですが、実際には具体的な目標を決めるのは難しいですね。音には人によって好みがありますし、人の感覚は結構気まぐれなところもあると思います。 昨日はいい音だなと思っても、今日はもっといいなと思う音を発見することがあります。そこが、目指すべき音のヒントかもしれません。

Q.製作上、一番気をつけていることは何ですか?

A.美しく仕上げるということには神経を使いますが、大事なのはいいかげんに作るということでしょうか。いいかげんと言うと、「ふざけるな」と怒られるかもしれませんが、「良い加減」ということです。人が楽器を弾き続けていく上で「良い加減」はどこなのか、ということですね。

Q.マンドリン作りとしての夢・目標

A.堅苦しいことや、かしこまった事はあまり好きではありませんので、私の楽器を弾いてみなさんが心から楽しんでいただくことが私の喜びでもあります。

Q.楽器を製作していてワクワクすることはありますか?

A.自分の持っている新しいイメージが形になっていく過程はすごく楽しいですね。でも、過去にはその結果は失敗ということもありましたが、挑戦することは実に楽しいと思うのです。

Q.マンドリンを弾く人々になにか望む事はありますか?

A.マンドリン作りはすぐに誰でも出来るとか、資格があれば良いと言うものではありません。
何でもそうだと思いますが、時間、経験と忍耐は必要です。楽器を弾くこともそれ相応の時間と訓練が必要かと思います。そうやって続けて初めて自ら前向きに物事に対峙できるようになるのかなと思います。マンドリン作りは音作りでもあります。私はこれからもやり続けていこうと思います。どうか、みなさまも楽器を弾き続けて自分自身の美しい音を奏でてください。
(「奏でる!マンドリン」Vol.6(2010年春号)掲載記事より転載許諾済み)
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