♯ 製作家紹介
❖ 加納木魂

Kodama Kanoh

昭和14年2月26日 名古屋生まれ
〃 33年3月23日 仕事始め、ギターを田村敏雄に師事
〃 41年4月24日 父木鳴より独立
製作にあたって
時々、愛好家からギター製作上いちばん大切な所は、どこか?と聞かれることがありますが、全体のバランスを考えねばならない作業だから、どの部分も軽く扱えるものではないと返事しております。亡き父も口癖のように言っておりました。”どこで誰が、修理するかもしれないから目に見えない所でも手を抜くな、日本一の仕事をしろ”と。まったくのところ、手の抜ける所などあるものではない。ギターを形作っている各部分は、緊密、微妙なバランスが要求されますので、常に無理のない作り方を考えなければなりません。まして一本の木の中でも同じ材料はなく、一本、一本が、それぞれ試作品というべきかもしれません.。考えまするに、銘器と呼ばれているものは、製作者の持つ高度な技術に、偶然が大きく作用したものではないでしょうか。
長い年月をかけて自然乾燥させた木材は、楽器になってからも、一般に “狂い”や”割れ”なども少ないようです。このような素材を用いて作られたギターの音質は、ちょうどお料理の味覚に似たところがあり、好き嫌いを超える程の “味わい” を持ったものが、銘器と呼ばれるのではないでしょうか。楽器は、音質がよく音量もあり、いわゆるよく鳴らねばなりません。この一つの目安として、テンション (張り) を重視し、自分の肉体条件を考えずに、弦長の長い、大型のものを選ぶ傾向にありますが、必ずしも弦長660mmのものが650mmのものよりすぐれているとは言えませんし、物理的には一応同じであるはずのものが、張りを強く感じたり、反対に弱く感じたりするものです。いわゆるテンションは、弦長だけに因るものではなく、ギターを形作る表、裏、横の材質、厚さ、組合せ、内部の力木の大小配置など色々な要素が微妙に絡みあっているものです。一般のものより弦長640mmでも630mmでも、妥当なテンションを与え得ると自負しております。自分の手や身体に適合した楽器に目を向けて、肉体的にも演奏の上にも余裕をもっていただきたいものです。
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