去る10月7日尼崎においてに「第20回日本マンドリン独奏コンクール」が行われ、当アカデミーマンドリン科生徒の福屋篤さんが第2位を受賞しました。これは、当アカデミー講師の高橋和彦先生が20年前に受賞されて以来の快挙となりました。 また、翌日10月8日には、「第52回九州ギター音楽コンクール」が行われ、当アカデミー専門家養成コースの上野芽実さんが第1位、同コースの舛田隆志さんが第3位と受賞し、フォレストヒルアカデミーでは2日間連続の喜びに包まれました。その模様を、九州ギター音楽コンクールの審査員も務められた中野先生と、尼崎に同行された高橋先生にレポートしていただきました。


九州ギター音楽コンクールの集合写真(提供:九州ギター音楽協会)

 去る10月8日(日)、筑紫野市生涯学習センター「さんあい」ホールにおいて第52回九州ギター音楽コンクール(主催:九州ギター音楽協会)が行われ、当フォレストヒルミュージックアカデミーより参加した上野芽実さんがみごと第一位(!)、舛田隆志君が第三位入賞を果たしましたので、ご報告するとともに経過などをお知らせしたいと思います。

協会からの正式なレポートは、当アカデミー特別講師の藤井眞吾先生が「現代ギター」誌に書かれますので、そちらも併せてご覧下さい。  このコンクールは“52回”という数が示す通り日本有数(回数は日本一?)の歴史を持ち、九州の名だたるギタリスト・講師の多くが優勝・入賞者として名前を連ねていて、正に九州ギター界のレベルを知る絶好の機会だと思います。

中野・松下・池田の三講師もこのコンクール優勝者ですし、現在ストラスブールで勉強中の近藤史明君の涙の(僕だけ?落合監督みたいですね)優勝も記憶に新しいところです。

 さて今年のコンクールですが、第一次予選(6月25日)はテープ審査でF.ソル作曲エチュードOp.31-10でしたが、今年に限り僕は所要のため審査に参加できませんでした。例年選考に苦労する・・・というのは一次予選は易しい曲だからみんな上手で甲乙つけがたし!と思いきや!!毎年必ず、「なーんや初見で弾いとるんやないか?」という人がチラホラいるので、出場者全員のを聴いた後、必ず審査員からタメ息が出るんです・・オイオイ、と。今年はどうだったのかな・・という危惧を抱きつつ第二次予選・本選の日を迎えました。

 一次予選通過者の名前は事前に知らされていましたので、ザッと眺めてこの面子なら二次予選さえ通れば上野さん・舛田君はいいとこ行くんではないかと予想しました。 申し遅れましたが、専門家志望コースの先の二人のほか、もうお一方言うなればアマチュア代表?ということで当アカデミー所属で、八女市のギター合奏団でも活躍しておられる、石井稔郎さんも果敢に参加されており、この方もうまくいけば予選通過可能では?と思っていました。

結果は・・ 課題曲はJ.S.バッハ作曲リュート組曲第一番BWV996〜「サラバンド&ブーレ」、それに自由曲(5分以内)ですが、上野さん(自由曲:J.S.バッハ作曲リュート組曲第一番BWV996〜「ジーグ」)・舛田君(同:F.M.トローバ作曲「ノクターン」)は順当に予選通過(それも審査員5人満票!)、石井さん(同:A.バリオス作曲「最後のトレモロ」)は緊張のためか(ゴメンナサイ)武運つたなく今回は予選敗退となりました。捲土重来を期待します。

 当アカデミー所属の皆さん!良かったらこのコンクールに参加してみませんか?発表会とはまた違った緊張感を味わってみられませんか?課題曲すなわちご自分が勉強するのと同じ曲を、何十人もがいろんな感性で演奏します。それぞれの個性を同じ舞台で発揮してみられませんか?

 さて、上野さんは良く考えられた装飾音と幅広く大胆なダイナミックスと勢いの強さで、また舛田君は少々内向的ながら非常な集中力を感じさせる演奏でそれぞれ満票で通過しました、ヤレヤレ・・他の通過者は、井上英之さん(京都府、昨年の当コンクール優勝者牲川さんと同門)、Josepf Prez Mirandillaさん(広島県、今年の山陰ギターコンクール優勝)、高須大地さん(愛知県、ご父君は高名なギタリスト)、和田正之さん(長崎県、当コンクール常連参加者、何度か本選出場あり)と決まりました。

 さて、本選の演奏順はくじ引きの結果、和田・上野・Mirandilla・井上・高須・舛田と決まりました。この出演順というのも微妙なもので、早く終わってしまいたい人・じっくり待ちたい人いろいろですし、前後の演奏スタイルによっては審査員に与える印象も変わったりするんです。課題曲は、M.デ.ファリャ作曲「ドビュッシー讃歌」でした。上野さんは、自由曲にまずD.スカルラッティ作曲のソナタを3曲、課題曲を挟んでL.ブローウェル作曲「ソナタ」〜トッカータでした。スカルラッティでは緊張のせいかヒヤッとする場面もありましたが、スケールでの歯切れのよさとほとばしる勢いは素晴らしいものがありました。

一転してファリャでは沈鬱な響きを、更にもう一回転してブローウェルでの破綻を恐れぬ雄大な表現は、若さだけでなく確実な技術と曲の見通しの良さを両立させた見事な演奏でした。次が、くじ運の妙と言いますか、「剛」の上野さんに対して、「柔」のMirandillaさんの「プレリュードとアレグロ」BWV998とH.W.ヘンツェ作曲「3つのティエント」でした。プレリュードでの和音の響かせ方の巧みさ・美しさ、そして難曲「ティエント」の技術・構成の完璧なまでの演奏、えてしてコンクールでは、最も対極的ともいえる演奏スタイルが互いに高い完成度で続く事がよくあって、 審査員を困らせるんです!

この二人の後では少々の演奏では色褪せてしまうところですが、出演順最後の舛田君はまったく動じる事なく集中力の高い演奏を繰り広げました。この強い精神力に拍手!です。ファリャの演奏は今回の参加者中、最も優れていたと言ってもいいでしょう。自由曲はM.ジュリアーニ作曲「ソナタ」Op.15でした。コンクール映えするとは必ずしもいえないこの曲を、いろいろ工夫をこらし知と情のバランスを考えた演奏は、他の奏者にはない個性的なものだったと思います。

もう一人、高須さんの演奏も暖かく柔らかい美しいものでした。僕の聴いた感じでは、上野・Mirandillaが第一位グループで拮抗し、舛田・高須がそれを追うと感じました。さて審査・・・


 今回の審査は、審査委員長として当アカデミー特別講師の藤井真吾先生が招かれ、他に三浦宣明先生(指揮者・福岡市)、佐々木真一先生(作曲家・柳井市)そして九州ギター音楽協会会長・関谷静司先生(佐賀市)と同副会長・中野(下関市)が担当しました。まず藤井先生より確認事項がいくつか提議されました。その後集計をしましたが、やはり上野・Mirandillaで優勝を争い、僅差で上野さんに栄冠が輝きました。決め手はやはり力強さカナ?これにおごらず(そんな事はないね!)、一つの過程としてもっと素晴らしい音楽をしようね!舛田君も良く健闘し見事3位入賞を果たしました、おめでとう!今後のさらなる成長を期待してるよ!

 今回、会場にフォレストヒルの関係者?と思われる方がたくさん見えていて、この二人の演奏の時には特に熱烈な拍手を贈って下さいました。二人に成り代わってお礼を申し上げます。また他の専門家志望の人たちも、こういった方々の夢と希望を自分たちは背負っているんだ、支えられているんだ、という自覚と感謝と喜びを持って日々音楽活動に精進してください。

 終わりの表彰式で3位の舛田君に賞品を渡すときにはグッと来るものがありました・・もし上野さんに渡したとしたら号泣してたかもしれません。しかし、コンクール事務局が気を利かせてくれたのか、賞品は会長がみな渡してしまいました(でも、ひとつくらいは僕が渡して涙したかったカナ)。
(九州ギター音楽協会副会長・フォレストヒルミュージックアカデミー ギター科主任講師:中野