新年あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願い申し上げます。
弊社は皆様のお陰様をもちまして今年で創業20周年を迎えることができました。



「20年の重み」
 関谷 静司
(佐賀ギター音楽院院長・九州ギター音楽協会会長)

「そんなことより、良い楽器さえ紹介してもらえればいいんだから…」20年前、創業の挨拶に遠路はるばる来てくれたにもかかわらず、将来の夢を熱く語る森岡さんに私はそっけない言葉を返した。それまでに来た楽器店(関東や関西からも)のセールスマンの態度にうんざりしていたからである。しかし「おや?この人は違う」と、その時の態度を恥じることになったのは会ってから数ヶ月も経ってはいなかったと思う。  思えば創業当時(屋号は「フレット楽器モリオカ」)は現在のような店構えではなくワンルームマンション。マンションと言えば聞こえはいいが、独身者あるいは単身赴任者用の、そのビルの中で一番狭い部屋、客の三人目からは外で待機、奥さんの居場所さえなくなるのでわざわざ外の用事を作らないといけない状態…今や知る人も少なくなったエピソード、思い出すだけでも涙が出てしまう。  現在のフォレストヒルがあるのは、森岡さんの、営業より先ず人間としての付き合いを大事にしてきたことによると思う。  

かつてこういうことがあった。
「明日の演奏のために弦がどうしても必要だ」と言われ、わずか1本だったか1セットだったか、我が侭な佐賀人(断じて私のことではない!)のために森岡さんは佐賀までの夜道に車を走らせた。当然の事ながら交通費を差し引けば赤字。彼の人間性が現れている。  森岡さんはお客さんが好きなのではない。ギターを愛する人、マンドリンを愛する人が心から好きなのだ。自らが真のギター、マンドリンの愛好家であるからこそ同好の士の心を理解し、正しい道に導いてくれる。導かれた人たちが顧客になっただけのことである。  今やインターネットで何でも手に入れることができる。ネットオークションなどでギターを買ったという人のなんと多いことか。心を表現する楽器を心の通じ合わない方法で手にいれて、なんで良い音楽ができようか(そういう輩に「喝!」)。名人芸に驚くことはできても音楽に感動できる心など養えるわけがない。こんな時代だからこそ人間どうしの心の通った付き合いを大切にすべきである。  ここ20年で九州ギター界、とりわけ福岡市およびその近辺のギター音楽環境は大きく変わった。

 今では福岡市でギリア、バルエコ、セルシエル、L.A.G.Q.などをはじめ国内外の一級の演奏が聴けるようになった。これも招聘できる力を備えた人、言うまでもなく森岡さんがいて初めて実現できたことであり、今後フォレストヒルが更に大きくなればもっと多くのコンサートが期待できるようになる。すなわち私たちがフォレストヒルを支えていけばいくほど私たちのギターライフは豊かになっていくのである。ギター音楽愛好者はフォレストヒルの献身的な営業精神にもっともっと応え、そして時には大いに甘え、人間としての付き合いを深める時だと思う。  20年を振り返れば「フォレストヒル20年史」ができるくらいのエピソードがあるが、別の機会にぼちぼち披露していこうと思う。
「九州のギター界を変えた男」に心から拍手。