2005年12月22日(木)に、あいれふホールにおきまして、九州交響楽団2nd首席奏者の荒田和豊先生と、フォレストヒルミュージックアカデミーギター科講師の松下隆二先生のデュオのリサイタルを弊社主催で行います。 演奏会を前に、お二人の先生について、演奏会についてお尋ねしました。


荒田 和豊(ヴァイオリン)

荒田 和豊 1982年京都市立芸術大学卒業。卒業後ただちに九州交響楽団に入団。在学中は岩淵龍太郎氏にヴァイオリンと室内楽を師事。1991年よりベートーヴェンヴァイオリンソナタ連続演奏会を各地で開催。福岡では小林道夫氏と共演〔真摯な演奏〕と高い評価を得る。1993年九州交響楽団第二ヴァイオリン首席奏者に就任。佐藤瑛理子、安芸晶子、ノーバート・ブライニンの各氏に師事。ギタリストの福田進一氏とも親交が深く、2001年にはジョイントリサイタルを開催、好評を得る。九州ギター音楽コンクール審査員を歴任。福岡市在住。

「ヴァィオリンの魅力」
  私の楽器は1890年のベネティア派のE.Deganiの作品です。音は明るくて遠くでもはっきりと輪郭があって音が透る超一級のヴァイオリンです。楽器の中を見るのはf字孔からは少しは見えるのですが、職人さんにエンドピンをはずしてもらった時、そこから中を見てびっくりした事がありました。そこから中を覗いたらとても大きな神殿の中にいるような、空間が広がっていました。初心者が使うような安価なヴァイオリンは、中を覗くと中の世界は狭かったのです。 ストラディバリまたガルネリに代表されるイタリア黄金期の作品を超える楽器はいまだかつてないとよく言われます。現代の製作者の中には技術的だけに注目して見れば、超えている楽器もあるとは思います。ヴァイオリンは楓、黒檀、象牙、羊の腸、馬のしっぽ、鯨の髭・・・世界中のものが使われています。名工と言われるストラディバリやガルネリはダビンチやミケランジェロと同時代、まさしくイタリアルネッサンスの時代に生きていたのです。 

「初心者の頃」
父が仕事から帰って来てギターを弾くのを見て〔あれくらいなら自分も出来そう〕と思って始めたのが小学校5年生の頃。勝手に弾いていたらある日、父の職場の同僚で久保さんと言う方がギターがうまいとの事で、手ほどきをしてもらいました。当時はテレビのギター教室で阿部保夫先生や京本輔則先生、渡辺範彦先生、寿楽みつお先生・・・そうそうたる先生が私の先生でした。もちろん他の楽器にも興味あってピアノやヴァイオリンのお稽古の番組も見ていました。 久保さんはギターも教えて下さっていた時、土日に泊り込みで遊びに行った時などは、よくベートーヴェンのピアノソナタのレコードを聞かせて下さいました。今、考えると変な趣味ですが、その久保さんと言う方は一曲ベートーヴェンのソナタを聴くとタイトルを赤のサインペンでグルッと囲ってしまうのです。きっと聞いた証をサインペンで囲ったのでしょうか? 無条件に楽しかった頃です。17歳でバイオリンを弾き始めるまでギターを弾いていました。

「好きな作曲家」
やはりベートーヴェン、他にもいっぱい好きな作曲家はいますが 。。。 バッハ・モーツァルト・ドビッシー・マーラー・チャイコフスキーetc. ベートーヴェンのピアノ協奏曲第五番皇帝というのを聴いたとき、なぜだろう生きる勇気が湧いてきて・・・今でも大好きな曲です。オケで演奏する時はソリスト・指揮者が良い時には本当に音楽を仕事にしていてよかったとおもいます。

「今回の聞き所」
ファリャのスペイン民謡組曲はピアノでもよく演奏されますがこれはギターのほうが合っていると思います。印象派の影響を受けてドビュッシーやラヴェルとも親交があったファリャは何を聞いてこの曲集を書いたのでしょうか?きっと巷で歌われていたメロディーでしょうか?空気を表現出来ればと思っています。それからショーロを二曲演奏しますが、これは松下さんにアドリブ的和声、メロディーを作曲していただき、とても魅力的な感じに出来上がっています。 すごく気に入ってます。

「近頃思う事・・・感動って何」
音楽学校の学生だった頃、朝から晩まで弾きまくっていた時期、ちっともうまくならなかったけど無心でした。今なら、雨が降るとヴァイオリンが鳴らないと稽古するのもためらいがちですが、音大には練習室が少なくて屋 根の下に譜面台を置いて雨降る中、よくエチュード弾いたなあ。 私は自称アマチュアからオーケストラに就職したからプロになったと言うのでしょうか・・・でも気分は全く変っていませんよ。気が付いたら20年少しプロをしている。先日、サンパレスでの定期公演をアクロスに来年から一本化するにあたって、資料を見ました。団暦20年、年間100回の本番をしたとして、ざっと2000回舞台に上がっている。すごいことだと思う。まさかテレビギター教室を見ていた少年がこんな仕事に就くとは・・・オーケストラ生活は音楽家の必要十分条件にはならないと思う。むしろ必要悪の感はあります。でも年に3〜5回最高に素晴らしい体験を舞台ですることがあります。モーツアルトがそこで弾いているかのようなイングリット・へブラーのピアノ、棒とオケが一体化する小泉和裕指揮の展覧会の絵etc. そんなとき神の領域にいるのではないかと思います。良い演奏と言うのはテクニックを超えたところに音楽が生まれると思います。 数百万円する弓と愛器デガー二で〔これは高価な楽器と弓だから今日はこれくらいにトレモロしておこう、傷ついたら嫌だから和音を弾くのはこの程度でいいや〕みたいな事を思っているなら感動はありません。一生懸命弾いた演奏後に思う事があります〔あんなに弾いてよくぞ弓が折れなかった事だ、楽器に傷はついてないかな〕 自分に感動なければ人は感動しません。 気分はアマチュアの時と同じです。

松下 隆二(ギター)
松下 隆二 7才よりクラシックギターを坂本一比古氏に師事。音楽理論を吉田峰明氏に師事。1993年第39回九州ギター音楽コンクール第1位。1994年パリ・エコールノルマル音楽院に入学しアルベルト・ポンセ氏に師事。1996年夏、キューバで行われたハバナ音楽祭に参加。2000年九州室内管弦楽団とアランフェス協奏曲第二楽章を共演し好評を博す。オスカー・ギリア、レオ・ブローウェル、ぺぺ・ロメロ、ディヴィッド・ラッセル、福田進一、藤井眞吾、北口功各氏のレッスンを受講。フォレストヒルミュージックアカデミーギター科講師。九州ギター音楽協会福岡支部長。福岡市在住。

この度、フォレストヒル音楽工房により、ヴァイオリンとギターのデュオリサイタルを主催していただくことになりました。森岡社長並びにスタッフの皆様、いつもありがとうございます。

「ギターの魅力」
ギターについて僕が魅力を感じるのは次の3点。まず第一に持ち運びやすいこと(ピアノやコントラバスと比べて)。第二に音色が多彩であること(多彩な音色を持ったギタリストでありたいと、いつも思っています)。でも僕がギターという楽器を弾き続けている最大の理由はこれです。「ジャンルを問わずいろんな音楽に使われる楽器なので、いろいろな音楽に触れる機会がある」

「初心者の頃」
7歳で初めてクラシック・ギターを手にしてからまだ27年しか経っていません。しかも“演奏すること”に本気でのめり込んでいったのは18歳の頃だったので最初の10年間が現在の自分にどのくらいプラスになっているのか、はなはだ疑問ではあります。ちなみに初心者の頃は、予習はやらないけど復習は何故かこまめにやっていました。

「好きな作曲家」

「好きな作品が多い」という意味での好きな作曲家は・・・・・ウーン・・・・・やっぱり、ヴィラ=ロボスかなぁ・・・・・。

「今回の聞き所」

アンサンブルに於いては“相手の音を聴きながら、あるいは相手が次に出す音を予測しながら弾く”事が大事になります。しかし残念なことにクラシックの演奏家でギターの音を「楽音」として認知できる人は結構少ないのです。プロの演奏家でも「クラシック・ギターの生音をまだ聴いたことがない」という人は意外に多いのです。(この事についてはクラシック・ギタリストのこれからの頑張りにかかっていると思います。)  今回共演していただく荒田氏は単にギターの音をよく御存知というだけでなく、(ご自身がギター演奏もされるので)どういう曲がこの2つの楽器に向いているのか、どういうアプローチが可能なのか熟知されているという点、ギタリストにとってこれほど有難いヴァイオリニストはいないと思います。ちなみにピアノで伴奏するヴァイオリン演奏はゴージャスに響きますが、ギターで伴奏するヴァイオリン演奏はより繊細かつワイルドに響きます。

「近頃思うこと」
良い年の取り方をするにはどうすればいいのでしょうか?「対極にあるふたつのことが共存している人間」というのが僕にとって理想の姿です。 “矛盾”という言葉がありますが、その矛と盾の間に真実というものが存在するのでは、と最近よく思う訳で、誤解のない理解なんて有り得るのかな、主観の入らない客観なんて存在しないんじゃないか・・・・と考えたりするのです。 とりあえず深く思考しながら素朴な元気さを

荒田和豊&松下隆二 デュオリサイタル
2005.12.22(木) 午後7時開演
あいれふホール(福岡市健康づくりセンター10F)
入場料:全席指定/一般3,150円、学生1,575円、ペア券5,250円
(フォレストヒルミュージックアカデミー生徒は1割引)

[プログラム]
 R.ドリゴ:セレナーデ
 A.バリオス:郷愁のショーロ・クリスマスの歌*
 M.de.ファリャ:6つのスペイン民謡
 H.ヴィラ=ロボス:ショーロス第1番
    ・ブラジル風バッハ第5番よりアリア・エチュード4番*
 A.ピアソラ:タンゴの歴史