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私にとっての荘村清志氏～森岡　晃　㈱フォレストヒル代表

　弊社フォレストヒル音楽工房では、来る10月24日(日)あいれふホール（福岡市）に於きまして「荘村清志ギターリサイタル」を行います。

荘村清志と言えば、クラシックギターに携わったことがある方の中で、ある年代以上の方々には、憧れや親しみを感じる存在でしょう。
　今年55歳を迎えた荘村氏は、デビュー以来国内のトップギタリストとして、最長のキャリアを持つ演奏家として、現在も精力的に活躍しています。そのキャリアは、まさに現代日本ギター界の原点と言うべきものです。

　荘村氏がギター界において、まず注目を浴びたのは1963年、来日中の巨匠ナルシソ・イエペス氏にその才能を認められ、その翌年よりスペイン・マドリッド音楽院に留学することになったことでしょう。当時荘村氏は弱冠15歳。まだ今日のように、ギターの幼児期の教育が確立されていない時期に若くしての海外留学。その先進性とチャレンジ精神は、当時クラシックギターが最大のブームを迎えていた日本ギター界に多大な影響を与え、欧米並の本物志向へ向かってゆく大きな流れを作っていったと言えるでしょう。
スペインではイエペス氏に師事し69年に帰国。その直後から国内のみならずヨーロッパ、北米などで数多くの公演を行い、「テクニック、音楽性ともに第一人者」との評価を得て、国際的評価を不動のものとしています。

その荘村氏で忘れられないのが、当時NHK教育テレビで放送されていた「ギター教室」で講師をしておられた時のことです。このNHKギター教室は1966年に放送が始まり、日本のギター教育に大きく貢献した番組だったと思うのですが、荘村氏は74年よりその講師を努められました。番組の中で‘ミニミニコンサート’というコーナーがあって、荘村氏が毎回演奏をされていて、それをいつも楽しみにしていた記憶があります。

　ちょっと余談ですが、先日(8月4日)、京都でクラシックの音楽企画をされている、マンサーナさんの主催により琵琶湖で荘村氏のリサイルがあり、私も行って参りました。リサイタルの後の打ち上げの席で、テレビのギター教室の話が出て、「あの番組は生放送ではないのに、(なんと！）ほとんどがノーカットで収録、もちろんミニミニコンサートも一発撮りだった」そうです。「その上30分間に収めるのに毎回ひやひやしていた」という裏話を伺いました。

打ち上げ会場にて
（森岡・荘村氏・濱砂）

さて私にとってギターの原点となったのは、当時中学生だった時に、初めて行った荘村氏のリサイタルだったのかも知れません。それは荘村氏が帰国間もない1970年に全国ツアーとして福岡にも来演された時でした。演奏会場は福岡市民会館小ホール。ギター大好き小僧だった私は、誰よりも早く会場に到着して(一番前の席が取りたかったのです…)、ホール前でたった一人で待っていました。すると、なんとギターを抱えた荘村氏が後から到着して私の目の前をさっそうと横切って行きました。(その時荘村さんと目が合った気がしたのです！)そのときの感動！ (今では大したことには思われないかも知れませんが…）34年も前の事なのに心に残る出来事でした。ともあれ当時中学生だった私にとって荘村氏はスターであり、その鮮烈な思い出が、私のギターの原点となったのに違いありません。

その荘村氏のリサイタルを34年の時を越えた今、この私が主催できることを本当に光栄に思います。先日の琵琶湖でのリサイタルの後、ほぼ初対面に等しい私と、朝4時頃まで近しく会話をかわして下さったときのお人柄の素晴らしさ！そして心からギターを愛しておられることに疑いの余地のない、その音楽性！今回のリサイタルで荘村氏をご存じの方もそうでない方も、荘村氏の33年のキャリアが証明するその音楽に、ぜひ触れていただきたいと思います。予定されているプログラムも、荘村氏が永く愛奏してきた親しみやすい名曲を中心に構成されています。ぜひ御来聴下さいませ