当フォレストヒルミュージックアカデミーの特別講師でおなじみの京都府在住のギタリスト、藤井眞吾先生のサロンコンサートを12月24日(火)19:00よりフォレストヒル1Fフロアにて行います。今回は藤井眞吾先生の東京をはじめとするツアーの一環として行うものです。常にギターに対して真摯な姿勢で臨まれている藤井眞吾先生ですが、この演奏会にたいするメッセージを頂きましたのでプロフィールと合わせてご紹介いたします。(森岡)

藤井眞吾 (ふじいしんご)プロフィール
 ギターを岡本一郎に師事し、1976年 「第1回新人大賞選考演奏会(日本ギタリスト会議主催)」で1位優勝。京都大学農学部博士課程を中退、1981年スペインへ留学、スペイン国立オスカル・エスプラ音学院でホセ・トマスに学ぶほか、故ホセ・ルイス・ゴンザレス 、デビット・ラッセル、の各氏に師事。1986年英国王立音学院 RoyalAcademy of Music の演奏家ディプロマ《A.R.C.M.》、同年スペイン政府の奨学金を得て「第26回サンティアゴ・デ・コンポステラ国際音楽講習会」に参加し、「ルイス・コーレマン国際音楽コンクール」でコーレマン賞を受賞。帰国後、国内各地でソロ・リサイタル。CDに「夜のスケッチ」「黒いデカメロン」。

曲目について 

 リサイタルのサブタイトルともなっている「森のなかで IN THE WOODS」は武満徹(たけみつとおる)が亡くなる前年、1995年11月に作曲された彼の最後のギターのための作品。
ブローウェルはほぼ同じ世代の、キューバ出身の作曲家・ギタリストであるが数々のギターの名曲を世に送り続け、中でもアフリカの民話に基づいて作曲された「黒いデカメロン」は代表作のひとつ。演奏者の藤井は一昨年12月に同名のタイトルによるCD「ブローウェル作品集」をリリースしている。またブローウェルは武満徹から強い影響を受けているが、武満が亡くなった年に「HIKA(ひか)〜武満への追憶」を作曲。日本の偉大な作曲家への深い追悼の意が表現されている。
 カルカッシの名前はクラシックギターの教則本の著者として有名であるが、実は19世紀イタリアに生まれパリを中心に活躍したギタリストでもあった。「イシスの神秘のアリアによる変奏曲 Op.24」はモーツァルトの歌劇「魔笛」からのアリアを主題とした技巧的で華やかな、そして演奏されることが極めて珍しい作品。
 他にスペインの作曲家、アルベニスのピアノ曲からの編曲で「マジョルカ(舟歌)」、20世紀前半に活躍したパラグアイのギタリスト、バリオスの作品から「前奏曲ホ短調」「マズルカ イ長調」「ワルツ〜汝の心とともに」など。
演奏者からのメッセージ
 1996年、作曲家・武満徹氏の突然の訃報は世界中の音楽ファンを一瞬にして悲しみで覆いました。私にとってもそれは大きな衝撃でありました。20世紀のギターのレパートリーは飛躍的に大きな進歩を遂げました。その中にあって、日本の武満徹氏の存在は大きく、ギターをこよなく愛していた氏のギター作品は既成概念に捕らわれることなく、ギターという小さなコスモスの中で、武満ワールドを遺憾なく発揮していたからです。 「森のなかで IN THE WOODS」は武満徹が亡くなる前年、病床に伏していた1995年11月に作曲された彼の最後のギターのための作品です。殆ど遺作と言っても良いでしょう。
 今回の私のリサイタル「藤井眞吾ギターソロリサイタル〜森のなかで」ではこの作品に象徴されるように、ギターという楽器への深い愛情、慈しみ、そして理解と言ったものにより成り立つ音楽を多く集めました。キューバの作曲家ブローウェルは、自身が素晴らしい演奏家であったことも手伝ってその作品は、ギターという楽器によってしか表現しえない、極めて独創的な作品ばかりです。またブローウェルは武満へ音楽家として強い尊敬の念を持っていました。今回取り上げました「HIKA, inMemoriam ToruTakemitsu」には、多くの武満ファンの気持ちを代弁するかのような心情が見事に描かれています。
 リサイタル前半ではギターの名手でもあった(そのことはあまり知られていませんが)19世紀イタリアの作曲家マテオ・カルカッシの作品、そして同じく20世紀前半に名手の名をほしいままにしていたパラグアイのギタリスト、アグスチン・バリオスの作品等を存分にお聞きいただく予定です。